総じて、昨今のプレゼンテーションに関する書籍には、「ビジュアルが大切」や「見た目で勝負」などとビジュアル重視の解説をしています。
しかし、これは現場のプレゼンを深く理解していない著者の間違った考え方、教え方です。
私は、100名超の上場企業経営者に直接プレゼンを実施し、「ビジュアルに頼ること」「ビジュアル化を優先的に考えること」の危険性と愚かさを、幾度となく実践を通じて経験しています。
聞き手にプレゼンテーションの内容が伝わらない最大の原因は、ビジュアル化が不十分なためではなく、あなたのプレゼンテーション内容が分かりにくいからでもありません。
聞き手に伝わらない最大の原因は、聞き手が知りたいとしている時に、あなたが伝えようとしていないからです。
つまり、伝えるための環境やタイミングの作為に無頓着なまま、単に見た目で分かりやすい資料を、一所懸命に準備し、作り込んでいるだけなのです。
これは「パワーポイントの代償(弊害)」とも言えます。
そして、勘違いをしないで下さい。
どんなに優秀なプレゼンターであっても、聞き手の理解力をコントロールすることなど出来ません。理解力とは、個々の聞き手に備わっている固有の能力です。
プレゼンターが出来ることは、個々の聞き手が持っている理解力を最大限に引き出すことです。
つまり、聞き手の理解力を最大にすると言うことは、聞き手の集中力を最大にすることに他なりません。
そして、最も大切なことは、理解力が最大のとき、つまり聞き手の集中力が最大のときに、伝えたいことを言い切ることです。
これを知らずして、どれだけ資料を作り込み、プレゼンテーションのコツやノウハウと呼ばれるものを活用しても、聞き手を動かすことは出来ません。
当研究所の「教材」は、プレゼンテーションにおける聞き手の集中力管理の重要性と有効性、そしてそのタイミングを作為する方法について言及する唯一の解説書です。
理解だけでは人は動きません。どうしてもタイミングが必要です。
そのタイミングをどのように作為し、展開するのかがプレゼンテーション成功の秘訣です。ビジュアル化した資料と、一所懸命な解説だけでは、どうにもならないのが現実です。
当研究所の教材、セミナー、研修などがプレゼンテーションを行う皆様のお役に立てたなら幸いです。
日本プレゼンテーション研究所 所長 田川 孝展