前回は環境の整備、つまりプレゼンテーション会場設備等の事前掌握が大切なことをお話しました。これは、聞き手の集中力を最大限に引き出すための対策と言うよりは、聞き手の集中力の散漫を最低限にするためのものとお考え下さい。聞き手の集中力を引き出すための方法として、これ以外にも様々なものがあります。その一つをご紹介します。
それは、聞き手と話し手の距離と会場密度です。先ずは、距離についてです。話し手のパワーを伝えやすくするためには、当然のことながら短いことが前提となります。そして短ければ良いと言ったものでもなく、大切なのはその密度です。
会場内に着座する聞き手の配置として理想なのは、全席に着座させることですが、そう簡単にそれができるものでもありません。施設規模によっても異なりますし、固定式の座席の場合もあります。ここで大切なのは、着座をコントロールする発想です。つまり、移動や収納可能なパイプ椅子や折りたたみ式の机の場合は、参加人数分だけ用意するのが大前提です。そして、来た順に前から座ってもらえるよう、前方の席に資料を配布しておきます。
通常の人は、先ず間違いなく資料配布済みの席に座ります。こうすることで、前方が埋まってきたら、徐々に資料を後方の席へと配布すれば良いのです。個々で重宝するのが、教材にもある「転換シート」です。着座した聞き手は、プレゼン開始までに、必ず「転換シート」に目を通します。ここで、その転換シートにより、聞き手のモチベーションを高めます。
以上が、話し手と聞き手との距離及びその密度をコントロールするための工夫です。少なくとも、人数分以上の資料を座席に事前配布するのは止めましょう。密度が低くなり、パワーが伝わり難くなること間違い無しです。