「極端に偏った、ビジュアル至上主義への誘導」
これが、見やすく分かりやすいだけで、結局、人を動かせない失敗プレゼンを
量産しています。
準備作業としての資料やスライドの作り込みには10時間もかけ、
肝心の話しの準備は数分、のような馬鹿げたプレゼン準備となります。
これで成功するはずがありません。
プレゼンテーションの命脈は聞き手に対する語り(話し)なのですから、本来ならスライドは脇役、そしてパワーポイントは単なる道具の1つでしかありません。
そしてこの症状の行き着く先が恐怖です。
なんと、あろうことか本人も気がつかないうちに、
説明のために「スライド」を使うのではなく、
「スライド」の説明になっています。
ここまで来たら、もはや、手の施しようがありません。
見やすく、丁寧に作りこまれた資料やスライドのお陰で、
分かりやすく良いプレゼンと思われることが多いのです。
これが、俗にいう「良く理解してもらっただけのプレゼン」です。
結果として、これでは聞き手を動かすことはできません。
理解してもらうだけでは、人を動かす動機としては弱いのです。
では、何が足りないのでしょうか。
細かい要領はいくつかあるのですが、大分すると2つになります。
理解してもらうための過程と、理解してもらった後の、話の展開が極めて重要となります。
この2つを押さえておかなければ、結局、理解してもらっただけで
終わってしまいます。
逆に、この両者を心得ているプレゼンターは、実に強いです。
これが分かってないと、恐ろしいことに、
殆どの人は「もっと分かりやすく」「もっと、もっと完璧に」と回を重ねる毎に一所懸命にスライドや資料の作り込みに没頭します。
アニメーションなど、殆ど役に立たないにもかかわらず、
それらを多用し、壮大なスペクタクル作品に仕上げます。
なかには、そのままデザイン会社に売り込めるのではないか、
と思わせるスライドまで登場します。
おまけに、「プレゼンは、見た目が勝負!」とした市販の馬鹿げた解説書が追い討ちをかけるので、疲弊しきるまで、作り込んでしまう人があとを絶ちません。
皆さんは、「解説はないが、絵だけ見せる紙芝居」と「解説はあるが、絵を見せない紙芝居」のどちらが感動すると思いますか。
結論は明らかですね。「解説はあるが、絵を見せない紙芝居」です。
要するに、話さえしっかりしていれば、人は動けるのです。
逆に、どんなに作り込まれた絵を何の解説もなしに、ぱらぱらめくられても「なんのこっちゃ?」ですね。
だからこそ、スライドや資料よりも、話の進め方が、比べものにならないくらい
重要となるのです。
「プレゼンは見た目で決まる!」なんて解説に、
だまされないで下さい。
これを鵜呑みにしたらその代償は極めて大きいです。
スライドを雑に作ることを奨励しているわけではありませんが、
必要以上に作りこむ癖がある人は、この症状に注意してください。
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○ プレゼンテーションの真実
・でたらめな、プレゼンテーション指導
・分かりやすいけど伝わらない本当の理由
・人を動かすプレゼンの決め手とは
・聞き手の集中力管理の重要性
・起承転結がプレゼンをダメにする
・失敗プレゼンが量産される理由
○ パワーポイントの代償
・怖い!パワーポイント病の感染経路
・恐ろしい!パワーポイント病の症状
・作り込むほど伝わらない本当の理由
○ プレゼンテーションの現状
・プレゼンテーションとは
・プレゼンテーションとカタログの違い
・ちょっと怖い!プレゼンと人物評価
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~ 所長のプレゼン雑感 ~
・市販の解説書にだまされないために
・人を動かすものとは?
・プレゼンでのタイミングの作為とは?
・話手は、聞き手によって創られる
・プレゼンの能力とは
・ディベート能力との比較
・効果的なプレゼンテーションとは?
・成功しない人の共通点
・説明と解説とプレゼンテーション
・プレゼンテーションの本質